では、企業の場合はどうでしょうか。ユニクロを例に、もう少しかみ砕いてマーケティングを考えて見ましょう。
ユニクロが私たち顧客に対して提供している商品は、フリースやヒートテック、エアリズムといった衣料品です。しかしながら、提供している「価値」という視点で考えると、ユニクロは衣服を提供していると考えるだけでは不十分です。たしかにインナーやアウターなどを提供していますが、衣料品であれば他にも提供するお店がたくさんあるからです。
では、他のお店と比べたときにユニクロが提供している「価値」は何でしょうか。品質に大きな不満を抱くことなく、リーズナブルな価格で衣服を提供するということに多くの人は価値を見いだしているのではないでしょうか。
このような価値を届けるために、ファッション業界が手がける多くの洋服とは異なり、素材調達、企画、開発、製造、物流、販売、在庫管理など、製造から販売までのすべての過程を一貫してユニクロが行っています。他の企業と取引が生じてしまうところを、自社で一貫して携わることでコストを削り、リーズナブルな価格で衣服を提供することを実現させ、品質などの面でもユニクロが主体的に関わることを可能にしています。同社が提供する「価値」を知ってもらう(あるいは思い出してもらう)ためにCMをテレビに流したり、毎週金曜日に新聞に折り込み広告を入れたりしています。
これらのユニクロの活動はいずれも広い意味でマーケティングに含まれるものです。