では、企業の場合はどうでしょうか。
ゲーム機を作っている任天堂という会社を例にとって考えて見ましょう。
同社は「任天堂に関わるすべての人を笑顔にする」ことを目標として掲げていますが、これを実現するための道筋を考えることが経営上の戦略、すなわち経営戦略になります。
目的を実現していく方法は、企業が置かれた状況によって異なります。さらに選択肢としての道筋に唯一の解が必ずあるわけではありません。ゲーム機メーカーのライバルであるソニーやマイクロソフトが仮に同じような目標を掲げたとしても、必ずしも任天堂と同じことをするわけではありません。
たとえば、任天堂は直感的にゲームができるよう、操作性の簡素化という方法をSwitchで実現しました。Switchの前にWiiという据置型ゲーム機が販売されていますが、その時も同じように操作性の簡素化を考えていて、家族みんなで楽しめる「鍋のような存在」を目指したと関係者の1人は語っています。それに対し、ソニーのプレイステーション4は動画の速度や美しさという性能の高さに焦点を当てたゲーム機を提供し、後継のプレイステーション5ではネットワーク機能を強化しています。同じ据置型ゲーム機でも、目指す姿が異なるので、歩む道筋も異なるのです。